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物理の研究の備忘録

高エネルギー物理学とかいうマニアックな研究分野の博士課程にいるわたしの備忘録。主にPCの設定とか

誰が原子をみたか『江沢洋』

せっかくブログを始めたので書評でも書く。

書評というか感想だけど。

今回紹介するのはこの本。

 

だれが原子をみたか (岩波現代文庫)

だれが原子をみたか (岩波現代文庫)

 

歴史的にどのような経緯で原子が発見されたのか、というテーマの本。

こうやって書くとテーマを「原子」に絞っているようだけど、実際は「科学史」としても随分ボリュームがあって教養になるし「読み物」としても十分面白い。

僕自身買ったのは2年くらい前なのだけど、時々忘れたころに本棚から引っ張りだして読みたくなるくらいには魅力的な本だと思う。また、もう40年前の本であるにも関わらず、ちょこちょこいろんなところで紹介されていたりする。

(実際僕がこの本を知ったのは田崎晴明さんの統計力学の本で紹介されているのを見たときだ)

いったいこの本のどこが面白いのか、僕の中で考えてみた結果、

科学的に考えることができる

ことが一番の魅力なんじゃないかと思う。僕は科学がすきだ。特に物理学が好きだ。こういうことをいうとたまに「へぇ、勉強が好きなんだ」とか「頭がいいんだねー」とか言われて奇異の目を向けられることがある。おそらくそういう人にとっての科学とは中学生時代の「理科の教科書を読んで暗記して勉強してテストで良い点をとること」とイコールなのだろう。高校に入ってからはそれは「難しい数式をこねくり回す科目」変化する。

前者についてもう少し具体的に考えてみる。例えば中学の理科の教科書では「すべての物質は原子からできています」と習う。そしてそれを暗記してテストで点をとる。これがテストで点をとるための勉強である。

でもよくよく考えると不思議だ。だって、生きている人や動物や、土や金属などの無機物、燃えている火や流れる水がすべて同じ原子からできているなんて納得できるだろうか?しかも原子なんて目には見えない。

僕はこういう疑問をもつことが科学を好きになるの第一歩なのだと思う。理科の教科書には、今では常識になっているものばかりだけど不思議がいっぱいだ。例えば

 

「空気が原子からできているなら、部屋の中の空気は時間が経つと重力で下の方に溜まってしまうのではないのか?」

 

「地球が太陽の周りを回ってるって本当だろうか?地球から見たら明らかに太陽が地球の周りを回っているように見える」

 

原子核はプラスの陽子と電荷を持たない中性子が集まってできているというけど、なぜプラス同士で反発しないのか?」

 

「熱の正体は分子の運動って本当だろうか?またそれはどうやって確かめられるんだろうか?そもそも電気の正体が『電子』の流れなんだから、熱の正体が『熱素』という目に見えない粒子だと考えても不都合はなさそうである」

 

とかね。これらの疑問にすべて自信を持って答えられるだろうか。これらの疑問を考えることを放棄し、ただ常識として覚えることに注力し始めた時点で、それは科学でなくただの苦痛な暗記科目に成り下がる。

こういう疑問を昔の人はあれこれ仮説を立てたり実験をしたりして確かめたのである。

どのような経緯で科学が始まり、当時の人はどのように考え、どんな実験をして、どのような思考を経て認められていったのか。この本にはそういった経緯が読みやすく文章で記されている。だからこそ様々なドラマがあり、読み物としても面白いのである。そして当時の人の記憶を追体験しているような気分になれるのだ。

 

根底にあるのは「この世界はどのようにできているのだろうか?」という誰もが一度は考えたことがあるであろう純粋な好奇心であり、それをあれこれ考えながら明らかにしていく。わくわくしないわけがないと個人的には思うのだけれど。。

個人的には大気圧の話が面白かった。

 

ちょこちょこ数式が出てくるものの、内容的には中学生が読んでもわかるし、また大人が読んでも学ぶことは多いとおもう。

 

書評ってこんな感じでいいのかな?なんか文章が堅いような気もする。

まぁいいや、おしまい!